夏バテ防止に、完熟梅。由来は中国の気付薬、山形県・佐藤屋「乃し梅」

明日、23日土曜日から、暦の上では「大暑」と言って暑さが一番厳しい季節に入ります。

大暑は8月6日までです。 近年の異常気象で、暦と旬はズレズレですが。。。東京は9月下旬までかなり暑いですが、北海道はお盆が過ぎると、急に涼しくなるので、大暑の期間は北日本は暦通りかもしれません。

暑さが厳しくなる季節、夏バテ対策にオススメしたい和菓子は、山形県の銘菓・のし梅」です。


 和菓子というより、高級な梅酒のグミのような触感。
完熟した梅を砂糖で煮詰めて寒天に流し込んだ和菓子で、梅の実の甘酸っぱく、爽やかな酸味がしっかり立っています。透明で艶やかな梅酒色は、細長く、シールのように竹の皮にペタッと覆われています。初めて見たときは、コレ、どうやって食べるの?と思った和菓子です。


のし梅の素材は至ってシンプル、完熟した梅、砂糖、水雨、寒天のたった4つ。和菓子屋さんで作られる菓子の良いところは、原料のシンプルさですよね。シンプル=体に優しいおやつ。私は原料に表示に、和菓子屋さんの愛情を感じます。この甘酸っぱい味はクセになり、5枚はアッという間です。

のし梅はもともと、梅を原料とする「気付ぐすり」が由来。

江戸の初め、将軍に仕える医者さんを「御典医」と言い、山形藩主に仕えた御典医が長崎に遊学した際、中国人から教わったのが梅の実を使った「気付薬」。煮詰めた梅に黒砂糖の加えた水あめのような物で、夏の体調不良に備え、常備薬として各家庭で作られていました。

同じく江戸時代、長崎の出島の外で日本人に西洋医学を教えていた、オランダ人医師「シーボルト」が書いた処方箋にも、梅干しと蜂蜜を使ったものもあり、梅の効能効果は、当時の長崎で注目されていたのかもしれません。 梅の実に含まれるすっぱい成分「クエン酸」は、疲労の原因となる乳酸の蓄積を抑えたり、胃の消化液の分泌を活発にする効果があり、夏バテ防止にピッタリ。 完熟梅で作る甘酸っぱい和菓子「のし梅」は、暑さの厳しい夏にお勧めです。 


そして、 佐藤屋さんには、もうひとつオススメがなんと!のし梅のチョコレート菓子。
白あんで作った生チョコに、のし梅を載せた「たまゆら」というガナッシュです。 
カカオのほろ苦さと、白あんの上品な甘さで作られる、半生触感のガナッシュは、超絶美味しい、和菓子屋さんの域を超えたチョコレートです。 オレンジピールよりもイイ仕事をする、のし梅がガナッシュの旨さを引き立てます。「たまゆら」ご褒美おやつに、オススメです。 

【佐藤屋】1821年 初代が山形藩の城下町で創業しました。
当時、町は出羽三山(でわさんざん)への山岳修行や旅行客で賑わい、和菓子を製造販売をしていました。
1700年頃から、山形県は「紅花」の栽培が盛んで、紅花から赤い色素を抽出するのに「梅の酸」を使っていたことから、梅の栽培も盛んでした。抽出した赤い色素を固めた「紅餅」と言われる色素の塊を、船で最上川を下り、京都や大阪へと運ぶ「紅花交易」が旺盛だったのです。 

のし梅を作り始めたのは、3代目の頃。 

山形ではのし梅を作るお店が数件ありますが、最も古い製造記録が佐藤屋さんで、昭和天皇の教育係で乃木神社に名前を残した「乃木希典」が日露戦争で陸軍の将軍だったとき、戦地へのし梅を届けた記録があるそうです。 

 明治時代、東京や関西へ修行に行き、新しい技術を習得しては、のし梅の改良に取り組み、味と品質を高め、大正時代には、現在の製法がほぼ確立。 爽やかな味わいが評判を呼び、のし梅は山形の代表銘菓となって、昭和に入り東京・日本橋三越でも販売します。 

戦時中、砂糖などの物資調達が難しかった時代、自社工場を山形の菓子組合と共同で使い、和菓子を作り続けました。 昭和24年に店舗再開。百貨店やショッピングセンターへの出店で、店舗拡大が順調に進む中、伝統を守ると同時に、新しいものを作っていかなくてはならない。と、葛藤が続いた頃、 京都で修行を積み8代目を継いだ現在の当主が、のし梅にチョコを合わせた「たまゆら」を作りました。

高島屋や三越の和菓子催事で8代目当主を、時々お見掛けします。

催事の時は1週間ぐらい滞在されるそうですが、東京の人の多さが苦手で、「早く山形へ帰りたい」と仰る、気さくな方です。 以前、たまゆらにのし梅の割合がもうちょっと高くても美味しいのでは?と聞いたところ、のし梅が苦手な人にも、のし梅を楽しめる割合なので、とおっしゃってました。 すっぱいスイーツが苦手な方も、たまゆら、とってもオススメです。 

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