フランス・ベルサイユのお茶会で恒例の茶菓。鳥取県・石谷精華堂「打吹公園だんご」

ご存知ですか?8月2日は「おやつの日」

8と2でおやつ。の語呂合わせですが、「おやつ」の語源は江戸時代、午後2時~4時を「ヤツドキ」と言い、その時間に食べていた軽食が由来です。

おやつの日のテレワークのヤツドキにぴったりのオススメは、鳥取県名物「うつぶき公園だんご」は、8センチぐらいの小さな3色串団子です。

小ぶりなのに美味しさのパワーが素晴らしい。

抹茶・白あん・小豆のあんこに包まれた、ビー玉くらいの団子が3つ、短い串に通って並んぶ姿がとても愛くるしい。とても上品なあんこの口当たりは、豆の皮を剥いてから炊く「皮むき餡」と知り納得です。どれも主張しすぎない、絶妙な味の3色餡のグラデーションの中に、ちゃんとお餅が入っています。


お餅は、もち米を水あめで練るので、固くならないんです。もち米に水あめを加えて蒸す作業を何度も繰り返すそうで、美味しさの裏側にある手間暇に、頭が下がります。

お団子は箱入りで、5本・10本・20本入りとありますが、私は10本入りが好きです。

細長い箱に可愛いお団子が10本カラフルに並ぶ姿が、「新品のクレヨン」のようで、子供の頃初めてクレヨンを買ってもらった時の様な、ウキウキする眺めなんです。

そして食べ始めると、やめられない止まらないかっぱえびせんのように、開封すると5本目まで手が止まりません。

「打吹公園だんご」を知ったのは札幌在住の頃でした。

札幌から通販で買うと送料お高いので、見つけると10本入りを2~3個買いだめして冷凍、食べる時は自然解凍で、新手の手法で美味しく頂いてました。お団子の賞味期限は3日です。なので、買いだめは自己責任です。

心を鷲摑みにされた「打吹公園だんご」ですが、その魅力は箱の文字にもあります。

「だんご」のまーるい筆文字で、ユニークというか、ポップというか、お団子の人柄みたいなものが表されています。


書いた方は、奈良県・東大寺の僧侶、清水公照さん。この方は100年に一度の東大寺の大修理を成功させ、自由闊達な筆書きの書画や陶芸でも有名な、NHK人物録に出てくる方です。若い頃は煩悩を捨てられず悩み抜いたのち「あるがままで、ええやないか」の境地に至ったという僧侶。お団子の箱の文字に惹きつけられるのは、煩悩まみれの心を、文字が諭していたのかもしれません。


【石谷精華堂】 創業1880年、明治13年です。

初代は石谷すまさん、女性です。お団子屋を営み、当初はあんこをまぶした「あんころ餅」を販売されていました。

打ち吹き公園は、明治四十年、大正天皇が皇太子時代に、山陰に来た記念に造園された公園ですが、その際、だんごを献上したことから、石谷すまさんのお団子は『打吹公園だんご』と命名され、それを機に、お団子の工夫をこらし、今の3色団子になったそう。


この命名も縁とチャンスに恵まれたお話ですが、打ち吹き公園は様々なチャンスと縁で、今や日本文化の伝道師、Japanese Sweets の代表とご存知ですか?

キッカケは、昭和の博覧会1985年、つくば万博。
ご縁の始まりは、茶道の裏千家名誉師範が、東京の百貨店で開催されていた物産展で団子を見つけ、お茶会の茶菓として度々使っていたそうです。


それが、つくば万博の大茶会で使いたい、3600人分。という名誉師範からお申し出があり、それが自腹でのお支払いと知り、石谷精華堂さんは無償提供します。楽天もAmazonも存在しない昭和の時代に、日本全国、世界から集まるつくば万博で、3600人へのサンプリングと考えると、企業としては大きなビジネスチャンスですね。


その後、再びの依頼で、フランス・ベルサイユで行われる大茶会で、2000人に振舞うため、打ち吹き公園団子は海を渡り、以来、ベルサイユは毎年恒例となります。

そこから、団子は海外をめぐります。


オーストラリア、カナダのジャパンフェスティバル、アメリカ・ワシントンの桜まつり、スペイン・オーストリア・ポルトガル・ドイツ・トルコでのジャパンフェスティバルと、ご縁は続き、日本文化の伝道師として世界に知られるJapaneseスイーツになりました。


打吹公園だんごを好きで食べていた私ですが、今回は、ビジネスの基本としてよく言われる「仕事は人と通してやってくる」や「チャンスの神様は前髪しかない」という、ひょうごのような言葉が浮かぶ創業史でした。勉強になりました。

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